2020秋冬アウターのトレンドに欠かせない「ボアジャケット」。今年はどのショップも目玉商品として打ち出しており、90年代を感じる色合いやさまざまな素材、柄を工夫した品々が目をひきます。そのもこもこしたビジュアルを裏切らないあたたかさで、これからのスタンダードを担っていくことが期待されています。

ひとくちに「ボアジャケット」と言っても、その中にはたくさんの種類があります。今回はその中でもひときわ辛口なアイテム、「B-3ジャケット」をみていきましょう。

ルーツは米国航空隊。極寒の空で命を守るため生まれたジャケット

出典: wear

「B-3」の登場は1934年。「ヘビーゾーン」と呼ばれる−30℃〜−10℃の気温に耐えるという過酷な任務を背負っていた米軍航空隊の命を守るために作られました。-30度といえば、鼻の穴が凍りつき呼吸で肺が痛くなるような寒さ。

防寒のために採用されたのはあたたかく保温性に優れた羊の毛皮でした。代名詞でもある内側のボア。現在でこそナイロンやポリエステルですが、昔は贅沢に羊の毛皮が使われていたのです

バブル真っ盛りの80年代、AVIREX(アヴィレックス)のB-3が大流行!

出典: wear

1986年に公開された映画「トップガン」の影響は凄まじく、バブル期の若者はこぞってフライトジャケットを羽織っていました。トム・クルーズ着用のG-1、パッチカスタムされたMA-1。そして、冬空の下ナンパを続ける若者のマストアイテム……かどうかはさておき。B-3もまた、フライトジャケットブームの一翼を担っていました。

B-3を語る上で欠かせないのは「AVIREX(アヴィレックス)」。時代を反映して贅沢に羊革を使用したB-3は、バブル世代にとって懐かしいアイテムかもしれません。

AVIREXのB-3ジャケットをZOZOでチェック

親しみやすいデザインで現代にリバイバル!

出典: wear

当時使用していた艶やかだけどひび割れやすいレザーは、使いやすいスウェード素材にアップデートされてなめらかでカジュアルな印象に。重く硬い印象も和らぎ、素材も軽い化繊で作られるようになりました。

今現在のB-3の特徴といえば、「大きな襟に首元のベルト、スリットポケットに内側のボア」というところ。定義がより自由になり、パイピングや工夫された配色など遊び心のあるデザインで、若者の人気を博しています。

シープスキンじゃなくてもあたたかい! インナーは一枚でスッキリ着よう

出典: wear

作られた目的やその機能性から、普段使いにはオーバースペックすぎるという声もあるB-3。バブル期の流行時にはタイトな半袖Tシャツ一枚にスキニーデニムを合わせるメンズが多く。当時は内側のボアが羊の毛皮だったのでそれでも暑いくらいだったといいます。

現在販売されているB-3が100%羊の毛皮で作られていることは珍しいですが、そのあたたかさは今も健在。着込むとシルエットが崩れてしまうので、ロングのカットソー1枚にさらっと合わせるくらいがちょうどいい着こなしです。

ズバリ肝はサイズ感! ボトムスでひと工夫加えても◎

出典: wear

体が大きく見えやすいボアジャケット、特にB-3は防寒着なのでバランスを間違えるとコーデがチグハグになりかねません。自分に合ったサイズ、シルエットを選ぶことはもちろん、合わせるボトムによって全く違う印象を与えることは押さえておきましょう。

スナップのようにテーパードパンツと合わせてオーバーサイズ気味のB-3をシンプルなスケートシューズと合わせたり、ワイドパンツを合わせてビッグシルエット同士でバランスを取ったり。スキニーデニムと合わせるとB-3が主役級の存在感を発揮してくれますが、そこにブーツを合わせると一気にミリタリー感を演出できます。

少し難しそうに見えるB-3ジャケットですが、実はボトムスを選ばない万能アイテムなのかもしれません。

B-3ジャケットをZOZOでチェック

By satoara

美大を卒業後、外資系アパレルで服を販売しつつWebライターとしても活動。 ヴィンテージ古着とファストファッションを組み合わせるのが好きです。