WEBファッションライターってどんな人がやってるの? 現役ライターにインタビューしてみた

最終更新日: 2024/05/29
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おしゃれの情報源として欠かせなくなったWEBファッション記事。しかしコーデやテクニックについて書かれたページは数あれど、ライター自身にスポットライトを当てた記事はそう多くありません。一体どんな人が書いていて、どうトレンドを集めているの?

今回は#CBK magazineのライターであり、自他ともに認めるファッションオタクでもあるkazuさんにインタビュー。ライターになった経緯からトレンドを知る方法まで、オンラインにて伺いました。

kazuさん
kazuさんプロフィール

文化服装学院卒業後、アパレルメーカーにてPR・販促を経験。現在はフリーでアパレルメーカーの広報・運営などに従事。2016年より#CBK magazineで執筆開始。
趣味はオタクのごとく雑誌を読みあさり、トレンドをいち早くキャッチすること。3人の娘さんと旦那さんの5人暮らし。

元はバイヤーからのスタート

ー #CBK編集部

はじめに、ライター以外のお仕事について教えてください。

ー kazuさん

ECサイトのアパレルショップのディレクション業務を請け負っています。内容としては、SNSの管理であったり、ショップが立ち上がる際にサイトのレイアウトデザインを考えて、デザイナーさんと共に立ち上げていくようなお仕事、またお店が落ち着いて安定してきたときに、メルマガを定期的に配信する作業をディレクションとして行っています。

ー #CBK編集部

そのお仕事はフリー、もしくは何かに属してという形ですか?

ー kazuさん

6年ぐらい前にフリーになりまして、同じタイミングでライターも始めて、先ほどのお仕事もしています。元々はアパレルのメーカーで同じような仕事をしていました。バイヤーから始まりまして、徐々に販売促進とかPRの方の仕事に移行して、今に至ります。

ー #CBK編集部

では学校を卒業されて、すぐバイヤーのお仕事に?

ー kazuさん

そうですね。でも実はちょっと後悔してまして。後ほどちょっとお話させていただきたいんですけれども(笑)。

ライターになったきっかけは、プロがくれた言葉

ー #CBK編集部

ライターを始めたきっかけは何だったんでしょうか?

ー kazuさん

これがバイヤーを選んで若干後悔したっていう話につながるんですけれども……。

 

専門学校の就活の際に、恩師に出版社の推薦を声かけられまして。「あなたは出版社が向いてると思うから、やってみたらどう?」と機会をいただいたんです。でも私はそのときバイヤーに憧れていて、今思うと貴重なチャンスがあったのに断ってしまった過去があって……。

 

バイヤーはバイヤーでとても楽しかったんですが、 だんだんPRの仕事に移っていくうちに、その恩師の言葉が頭から離れなくなってきて。やっぱりプロがくださった言葉だったので、 挑戦してみたいと思ったのがきっかけですね。

ー #CBK編集部

自分の実力を確かめたかったところも?

ー kazuさん

そうですね、もしかすると向いているのかもしれないな、と。恩師からいただいた言葉をその時思い出して、挑戦してみたい、と思い切ってフリーに転身しました。

ー #CBK編集部

なるほど。#CBK magazineでお仕事をしてくださった理由はありますか?

ー kazuさん

初めてのライターとしてのお仕事で、探し方もいまいちわからない状況の中、ちょうど目についたのが#CBK magazineさんでした。

 

詳細を見ていくうちに、一般の方のファッションに関して、スタイリングなどを解説できる機会がある、ということを目にして。自分がしたかったこととリンクしたので、もう迷うことなくすぐ応募していました。

ー #CBK編集部

ありがとうございます、嬉しいです!

kazuさんの記事一覧。これまで#CBK magazineで書いた記事の数は600を超える

「ぶっちゃけ、ライター業でやっていけますか?」

ー #CBK編集部

一つネックになるのが、業界全体を見るとWEBライターは賃金が低いということだと思います。ライター業としてやっていけるのか、ぶっちゃけたところを伺いたいです。

ー kazuさん

やっぱり、ライター業オンリーだと正直厳しいと思いますね。ただ、すごくやりたい仕事としてやれています。いくつかお仕事を持ってますけど、私は一番楽しくやらせていただいているお仕事なので……。

 

確かに、お金との兼ね合いを考えたときには厳しいなとは思います。でもなるべくそこは考えないように、楽しんで仕事をするように心がけています。

ー #CBK編集部

ちなみにご執筆される際、kazuさんの中で「ここは守る」といった、自分なりの定義などはありますか?

ー kazuさん

独学でライターをやらせていただいているようなものなので、とにかく適当にならない、丁寧に一つひとつ仕上げたいと思っています。なので出来上がったあとも2回3回、必ず自分の中で全文チェックしますし、「コレでいいや」って思った文章がないように、大事に仕上げるようにはしています。

 

コレでいいのかな?ライターとしてちゃんとできてるかな?と自信が足りてない部分も正直あるかもしれませんが、そこを補うために、丁寧に一つひとつ書くようには心がけていますね。

おしゃれの情報源、6~7割はインスタグラム

ー #CBK編集部

kazuさんの記事には最新のトレンドが詰まっていて、いつも感銘を受けながら拝読しています。おしゃれの情報はどう収集されていますか?

ー kazuさん

6・7割は今インスタですね。文化服装学院を出ていてスタイリストさんやデザイナーの知り合いも多いので、残りはお友達のインスタだったり、友達と実際に会うことでトレンドをもらったりとか。

 

あとは市場調査じゃないですが、街を歩くことで。おしゃれな街って先端のオシャレをされてる若い方がたくさんいらっしゃるので、リアルなおしゃれの情報はそこでキャッチしています。

ー #CBK編集部

一番インパクトが大きいなと感じるのは、インスタ、それともデザイナーなどお友達の方でしょうか?

ー kazuさん

情報量としてはインスタの方が多く感じます。でも昔から知っていて、いま最前線で働く友人のファッションはものすごくインパクトが強いので、自分の中でも影響力が大きいかもしれないですね。見たことないファッションをしていても、「あ、これって流行るのかな?」と思わせてくれるような影響力を感じます。

kazuさんのトレンド記事『この秋、何が流行る? 手に入れたい「4大トレンド」はコレ!【2021】』

ZARA(ザラ)で「トレンドの答え合わせ」をする

ー #CBK編集部

オシャレの情報をチェックした後に、いつも回るお店のルーティンなどはありますか?

ー kazuさん

最近は圧倒的にオンラインでチェックすることが増えています。オンラインであれば、比較的ハイブランドなら「LOEWE(ロエベ)」「BARNEYS NEW YORK(バーニーズ ニューヨーク)」「TOMORROWLAND(トゥモローランド)」など。セレクトショップが結構好きで見ることが多いですね。

 

リアルに手が届きそうな価格のブランドで言えば、トレンドは「ZARA(ザラ)」がすごくおしゃれだなと思います。写真を見るという意味で、オンラインのショップは週に3~4回は見ているかもしれないです。

ー #CBK編集部

3~4回も! それはザラが3~4回見ても飽きないぐらい更新をしているから、ということですか?

ー kazuさん

更新もそうですし、答え合わせみたいな感覚で行ったり来たりしています。例えば「ハイウエストパンツ」はめちゃくちゃ流行ったと思うんですが、あれを実際に着ているインスタの一般の方をチェックして、またザラのショップに戻って。こういう体型の人が着てもこんなにキレイに見えるんだとか、本当にキレイなラインのパンツなんだな……、というのを答え合わせしています。

ー #CBK編集部

そういう使い方があったのかと驚きました! どんな体型の人でもキレイに見えるとか、いろんな視点で見られるということですね。

ZARA(ザラ)ハイウエストパンツのスナップ例 – 出典:#CBK(中央

インスタグラマーの流行が身近に来たら「大トレンド」

ー #CBK編集部

ビッグブームから小さめの流行まで、トレンドにも大きさがあると思いますが、「これはくるぞ!」という判断はどうつけていますか?

ー kazuさん

常にチェックしているインスタグラマーさんが、同じようなアイテムやカラーを結構な割合で身に着け出すと、「あ、これはきっと流行るんだな」とまず思います。

 

そのあとに、いつも通るルート上に大型ショッピングモールがありまして、ショップディスプレイの「前面に出している・着せているお洋服」がインスタグラマーたちのカラーやアイテムと一致したときに、「これは大きなトレンドなんだな」って実感することが多いですね。

ー #CBK編集部

なるほど、インスタグラマーさんから流れてきた流行が、自分の身近にまで来たぞ!という判断の仕方だと。そういう意味でショッピングモールはすごく強いですよね。

 

ちなみに、常に今チェックしているインスタグラマーさんについて、具体的にどんな方をチェックしていますか?

ー kazuさん

おそらく一般の方ですが、お子さんがいらっしゃって、でも10~20万人くらいのフォロワーさんがいるような方たちですね。

 

みなさんハイブランドとプチプラをうまく一つのコーディネートで融合させていて、それが今の着こなしなのかなって。少し前は「全身ハイブランド」みたいな時代もあったと思うんですけど、「UNIQLO(ユニクロ)」とかは今やっぱりすごい人気ですよね。

ー #CBK編集部

みなさん大体1個はユニクロとかプチプラですもんね。インスタグラマーさんは読者モデルなどでもなくて、一般の方ですか?

ー kazuさん

そうです! そっちの方をよくチェックします。独自の気に入ったアイテムとかも取り入れていらっしゃるので、見ていてすごく面白いですね。

モデル事務所に所属せず、数万人のフォロワーを持つインスタグラマーも珍しくない – 出典:#CBK

「買いたい」を生み出す、インスタ発の流行

ー #CBK編集部

最近はコレクション・雑誌に代わり、インスタから流行が生まれると言われています。そのことについてどうお考えですか?

ー kazuさん

一般人のインスタグラマーから流行が生まれる、というのはすごく感じています。何でだろう?と考えたときに、身近な人物で、雑誌で外国の方が着こなしてるお洋服よりもリアルに感じられる、自分でも着られるんじゃないか、という部分で影響力が強いのかなと思いますね。

ー #CBK編集部

雑誌を見ても、エビちゃんモエちゃんが着てても私はエビちゃんではないって、ことになっちゃいますもんね。

ー kazuさん

そうなんですよ(笑)。買う立場としても、販売員の方とか、インスタで一般人の方が着ている方が「あ、買いたいな」って思うことが多いですね。
1人ひとりの体型がどことなく見えてくるので、パンツのシルエットはこう見えるけど、ウエストインしてもお腹あんまり目立たないとか、一般の方だとそういった面が参考にしやすいなと思います。

ー #CBK編集部

なるほど、”体型が見えてくる”。モデルさんが着たものはマネキンが着てるのと一緒ですもんね。

ー kazuさん

絶対似合うじゃないですか。細いから(笑)

ー #CBK編集部

その服の「裏」は見えてこないですもんね。

自分のすべてに対して「似合っているか」

ー #CBK編集部

おしゃれで「大切にしたい究極のひと言」があれば、ぜひ教えてください。

ー kazuさん

この質問、実は一番答えが出なくて。1週間前に事前質問を受け取ってから、昨日までずっと考えていて。答えられないんじゃないかって思った質問だったんですけど(笑)。

 

でも何度考えても、自分の中で一番大切にしていることは「似合っているか」だなと思いました。具体的に言うと、自分の雰囲気に合っているか、体型に馴染んでいるか。あとはヘアメイクとか、すべてに対して自分に似合っているか?というところを意識して、コーディネートやおしゃれを楽しんでるな、という風に思いました。

ー #CBK編集部

なるほど、これまで記事を通じてkazuさんとやり取りしてきましたが、「似合っているか」を大切にされている、というのが今しっくりきました。

 

ではこれから先、40代・50代・60代と向かうにつれ、どんなファッションをしたいか、将来像はありますか?

ー kazuさん

すごくあります! 私、子どもの頃の夢がおばあちゃんになることだったんですけど(笑)。おばあちゃんって自由に生きているっていうイメージを持っていて。

 

年齢を重ねていくうちに夢見ているのは、インパクトのある、好きなものを身に着けている、ちょっと派手なおばあちゃんになりたいです。

ー #CBK編集部

夏木マリさん……くらいのレベルですか?

ー kazuさん

若干超してもいい、ぐらい! 若い頃にやると頑張り過ぎてる感が出ちゃう気がしますが、だんだん貫禄の出てきた女性がやると、本当におしゃれに見えるなと思います。インパクトのあるファッションが似合うような、ちょっと奇抜なおばあちゃんになりたいです。

ー #CBK編集部

何だかわかります、素敵です!

 

本日はお忙しい中ありがとうございました。引き続き、楽しい記事を楽しみにしています!

 

インタビューでは「”似合っているか”を大切にしている」と話してくれたkazuさん。彼女の記事ではどんなトレンドも前向きに紹介されることがほとんどで、否定的に取り上げられることはありません。それはきっと、「似合っているか」という問いが「”自分の生き方”に似合っているか」という側面も持つから。他人軸による判断ではなく、自分の心に似合うファッションを楽しんでほしい、という気持ちが記事にも表れているのだと感じました。

 

#CBK magazineではファッション業界経験のある方(アパレル・美容・ネイルなど)をライターとして募集しています。現在の募集要項については以下をご覧ください。

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