自分で洋服が選べない。パーソナルスタイリング『DROBE』が提供する新しい出会い

(この記事は#CBK encyclopediaにて、2020年5月13日に公開されたものです。)

「ワードローブにたくさんの洋服があるのに着る服がない」「年齢に合ったファッションがわからない」といったファッションに関する悩みを抱える人は多いもの。

サブスクリプションモデルのサービスが複数ある中、2019年にβ版を、2020年3月より本格的にスタートをしたパーソナルスタイリングサービス「DROBE」を展開する山敷守さんにオンラインインタビューをさせていただきました。(インタビュアー: ニューロープ林田)

DROBE代表 山敷 守さん
山敷守さんプロフィール

東京大学経済学部卒業。在学中、学生向けSNS「LinNo」を立ち上げる。
2010年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。提携事業「Yahoo!モバゲー」でプロダクトマネージャーを務めた後、2012年、無料通話アプリ「comm」を責任者としてリリース。
その後、シンガポール、アメリカ等を対象とする海外新規サービスほか、複数の事業立ち上げに従事。
2016年、BCG Digital Venturesの日本拠点の立ち上げから参画し、様々な大手企業との新規事業開発に取り組む。2019年4月、DROBEを設立し代表に就任。

受動的なお客様に商品提案をする”パーソナルスタイリングサービス”

ー 林田

「DROBE」スタートのきっかけについて教えてください。

ー 山敷

BCG Digital Venturesで大手企業とデザインリサーチをする中で、実際に数百人の方にお会いし、ライフスタイルに関する課題についてヒアリングを重ねてきました。その中のひとつで課題として大きくあったのがファッションに関することです。女性はファッションを楽しんでいるものだと思っていたのですが、実はそうではなく色々な悩みを抱えているのだと知りました。ここを解決したら、8割の女性のファッションの課題を解決できると思い、サービスの企画をスタートさせました。

「DROBE」という社名には、商品単品ではなく”ワードローブ”として組み合わせを楽しむようなファッションを提案したいという思いを込めています。2020年4月現在、会員数は1万7千人ほどです。コロナウィルスの影響でお店が閉まっていて買い物に行けない方や外出自粛で店舗へ行くことを控える方などもいて、新規会員は増えています。

ー 林田

多くのファッションのサブスクリプションサービスは2015年くらいにスタートしています。また2019年3月には、ZOZOのおまかせ定期便がサービス提供から1年ほどで終了するというニュースもありました。こういったビジネス環境についてはいかがでしたか?

ー 山敷

外からは、「ファッションのサブスクリプション」や「スタイリング提案」という点で他のサービスと類似しているとの声もありましたが、実際に中のつくりとしては全然違うものにしています。

「DROBE」は、レンタルではなく購入型で、また買い物代行ではなく「何を買ったら良いのかわからない」といった方向けの”パーソナルスタイリングサービス”であることがポイントです。受動的なお客様に対して商品提案をする、自分で選べない選ばないものを選べるようにするプラットフォームです。そのため、はじめに約70個の質問でしっかりとヒアリングをさせていただきます。

サービスの流れ

LINEで完結するコミュニケーション設計にしたワケ

ー 林田

ユーザーさんはどのような方が多いのでしょうか?

ー 山敷

30~40代の女性がメインです。いわゆる東名阪で半数、意外に地方の方もいらっしゃいます。お悩みとして一番多いのは「年齢にあったファッションがしたいけれど、どのような服装をしたら良いのかわからない」といったものです。シーンとしては、ON・OFF兼用で着られる服を求める方が多い傾向です。

ー 林田

サービスの利用頻度についてはどうでしょうか?

ー 山敷

利用頻度は、1,2,3ヵ月で選べるのですが、3ヵ月頻度が4割と少し多いくらいです。1ヵ月に1回あらかじめ予算を決めて利用している方、シーズンが入れ替わるタイミングで新しい洋服を購入する方、毎回違ったテイストやアイテムを求める方など使い方は様々です。ちなみに、価格帯はアイテムにもよりますが、6千円から2万円くらいです。初回のスタイリング料は無料で、2回目から2,900円かかるのですが、8割以上が継続していただいています。

ー 林田

「DROBE」はユーザーとのコミュニケーションをLINEに寄せていますね。

なにかポイントはありますか?

ー 山敷

コミュニケーションツールは、色々と試しました。ビデオ通話、買い物同行、電話でのヒアリングもトライしましたが、一番再現性のある提案ができたのがLINEでした。LINEチャットの良いところは、いくつかあります。やはりお客様側の心理的ハードルが低いことや、リアルタイムでの返答でなくても良いのでお客様のほうも伝えたいことを整理した上で回答いただけるところが良いです。チームでのデータ共有がしやすいのもポイントですね。

ー 林田

ユーザーは予め時間を確保して、チャットに張り付いて回答しなければならないと思っていたのですが、そうではないのですね!

ー 山敷

はい、そうです。電話やビデオ通話の場合は60分間など時間をフィックスしてヒアリングをしていたのですが、チャットの場合はお客様側に回答のタイミングをおまかせしています。

ファッションは言語化しにくい部分が多くありますが、チャットにすることでコミュニケーションロスを減らすことにも繋がっています。例えば、「ベーシックカラー」について質問をしたとき、スタイリスト側は黒・白・ベージュあたりを想定していたのですが、お客様側は赤・黄・青などの基本色だと思って答えていたなんてこともありました。質問の量が70個と多いので重たくはありますが、満足度に繋げるには重要だと考えています。

スタイリスト+AIの協働でお客様の満足度を上げていく

ー 林田

スタイリストさんはどんな方が多いのでしょうか?

ー 山敷

現在のスタイリストは40名ほどで、単なる“ファッション”好きではなく、ファッションに関わった経験のあるプロの方に限定しています。バックグラウンドとしては、セレクトショップ系の販売員や、パーソナルスタイリスト、雑誌のスタイリスト、服飾系専門学校の講師などです。ファッション関連の仕事は、子育てをしながら続けにくい部分もあり、お子さんがいらっしゃる方も多いですね。

ー 林田

スタイリストのバックグラウンドや経験がバラバラだとスキルレベルにも差が出てくるかと思いますが、どのようにコントロールしているのでしょうか?

ー 山敷

例えば採用時には実技試験をし、採用後はお客様からのフィードバックを細かく伝えてスキルアップに繋げています。スタイリスト単位でどのくらいの購買に繋がったのか、どんな課題があるのかなどを分析しています。アドバイスの内容は、例えば大きめのサイズを選ぶことが多いことがわかったら、次回から小さめを選ぶようにしてもらうなどです。スタイリストのフィーは、雇用形態にもよりますが固定+歩合制を取って、結果にコミットするようにしています。

ー 林田

自分のスタイリストさんができると思うと、なんだかセレブ気分ですね!

前回のスタイリストさんを指名されることもあるのでしょうか?

ー 山敷

はい。前回と同じスタイリストを指名するお客様も多いです。場合によって、ご希望のスタイリストがお休みの時があるのですが、お休み明けまで待つお客様もいらっしゃいますね。

ー 林田

スタイリングにはAIも使っているようですが、効果はいかがでしょうか?

ー 山敷

はい。過去15万回以上の商品選定データをAI化しています。スタイリストが8商品を選ぶのに、はじめは220分もかかっていました。AIによるスタイリングを入れて、現在は50分ほどに縮まってきています。1回目はAIによる提案がハマりやすいのですが、お客様がリピートしてくると、過去のデータがハマりにくくなってきます。

ー 林田

それはどういうことでしょうか?

ー 山敷

「DROBE」はパーソナルスタイリングサービスなので「提案と発見」をキーワードとしており、提案する8商品の中に必ずひとつは“TRYアイテム”を入れるようにしています。これは、新しい発見になるような通常では選ばないアイテムです。ここが購入代行との違いでもあります。そうすると、徐々にお客様から新しい提案を求めてくるようになるのです。

ー 林田

なるほど。お客様のファッションの好みが変わってくるのですね!

公式ECやモールと食い合わない新しい接点をデジタルの世界で提供

ー 林田

現在のブランド数はどれくらいでしょうか?

ー 山敷

現在、ブランドは100以上で、取扱商品は10万SKU以上です。BEAMSさんやFLANDREさんなどに参画いただいています。

ー 林田

ブランドが「DROBE」に参加する場合はどうすれば良いのでしょうか?

ー 山敷

まずは商品データと在庫情報の連携が必要です。オーダーが入ったら、ブランドさんは弊社の倉庫に商品を送っていただきます。購入に繋がれば弊社の手数料を引いた代金が売り上げになります。
送料はブランド側にお願いをしており、もし返品があった場合の返送料は弊社が負担しています。アクセサリーなどシーズンがあまりないものは、弊社で在庫を持っているケースもあります。

ビジネス構造
ー 林田

ブランドの参加メリットはどんなところにありますか?

ー 山敷

大きくふたつあります。

ひとつは、新しい場所で新しいファンに出会えるところです。お客様には事前に好きなブランドなどをヒアリングしていますが、スタイリストはお客様の好きなブランドから選ぶことは少なく、あくまでテイストの参考にしています。そのため、お客様は「DROBE」のパーソナルスタイリングをきっかけに初めて着るブランドが多いのです。スタイリストからのオススメとして、その方がブランドを知っているか否かに関わらず商品をお送りすることになるので、これはブランドには出来ない手法です。またお客様の半数は洋服の購入にECを使っていない方ということもあり、公式ECやモールと食い合わずにデジタルの世界で新しい接点をつくることができます。

二つ目は、返品理由のフィードバックです。あるブランドさんからは『買わなかった理由がここまで明確になることはなかった』とおっしゃっていただきました。

ー 林田

今後の予定について教えてください。

ー 山敷

まず、2020年度の目標会員数は10万人です。それと平行して、レディースファッションの幅をもっと広げていきます。デザイン性、ジャンル、価格帯などはもっと広げていきたいので、直接ブランドさんにお声がけをさせていただいています。例えば、プラスサイズやスポーツテイストなどを広げていきたいですね。

その次はメンズ、あとは古着にも興味があります。お客様のクローゼットにおける数は有限なので、お客様が購入した商品を買い取り、二次流通に回していく仕組みを作っていければと考えています。

その先に商材の拡張はしていきたいという構想もあります。ネット上の膨大なアイテムから選べずにいる方に向けて、「自分で買えないものを買えるようにする」「自分が本当に好きなものに出会える」プラットフォームを提供していきたいと思っています!

ー 林田

本日はお忙しい中ありがとうございました!

 

関連リンクdrobe.jp

出典元:#CBK encyclopedia(2020.5.13.)

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