18歳のころからフリーで芸能の仕事を始めて、一度はアパレル業界に就職。その後独立してから、今度は美容業会に就職。フリーにこだわるわけでもなく、次々とステップを踏んでいく工藤裕生(くどうひろい)さんの”仕事観”をうかがってきました。
ポートフォリオを組むような感覚で複数のビジネスを並行している
ーーかなりユニークな経歴をお持ちですよね。これまでのキャリアについて教えていただいて良いですか?
学生だった18歳のころから芸能の仕事を始めました。そのまま「この業界でプロフェッショナルとして働きたい!」という思いはあったんですけど、心配した両親に「とりあえず就職先を決めなさい」と言われて就職活動をすることに。
ひとまず内定をもらった上で半年くらいあらためて考えた末、アパレル業界に就職することにしました。芸能界には「たまに参加する」というくらいのスタンスが自分には合っていると思ったんです。
一年くらい百貨店に勤めたのですが、理不尽なことも多く、「当面はやりたいことができなさそうだ」と判断してやめました。
そこから独立してキャスティング事業(注:イベントや撮影などの仕事にモデルを斡旋する仕事)を始めました。芸能の仕事をしていると現場で色々なモデルさんたちと知り会う機会があったし、企業さんから「こいうモデルさんいませんか?」と聞かれることも多かったので、それを引き合わせるとお仕事になるんです。最初は大変でしたが、周囲に支えられて軌道に乗せることができました。
ーー一度は独立したのに、どうしてまた就職したんですか?
27歳のとき、縁があって美容の仕事を始めました。「女性に生まれたからには美容の仕事もやってみたい」という兼ねてからの思いもありました。
“家庭で質の高いエステができる美容家電”を販売する事業です。私の職場のサロンでは、実機を使ったエステ体験やアフターケアも提供しています。その商品があればエステに通わずホームでケアすることができるので、長い目でみるととても割の良い買いものではあるのですが、1つ10万円ちょっとする、決して安くはない商品なので、しっかりした営業や交渉術が求められます。ここで学ぶことは多いですね。喜んで買ってくださる方もいらっしゃいますが、そうではない方もいるので、誰が聞いても「欲しい!」と思ってもらえるような伝え方ができるようになりたいです。
形式上”社員”になってはいますが、あまり”会社に勤めている”という意識はありません。モデルもキャスティング事業も継続していますし、比較的自由な勤務体系で働かせていただいています。ポートフォリオを組むような感覚で複数のビジネスを並行しているんです。
気づいたら周りがみんな笑っている、そんな日常が理想
ーー今後のキャリアはどのように考えていますか?
今のエステの仕事については「ここにずっといられる」と思うとずるずる居座ってしまうので、「あと半年」という期限を設けて取り組んでいます。
最終的には起業して「トータルビューティで人に道しるべをしたい」という思いがあります。
フリーでやってきて限界も感じているので、最初から自分の力だけでやろうということは考えていなくて、まずは起業する人を見つけて、そのパートナーとして事業の立ち上げを経験するところから始めて、向こう3年くらいでかたちにしていきたいと思っています。
芸能の仕事は好きだし楽しいからおばあちゃんになっても続けていきたいけど、「それで食べていきたい」とは今でも考えていません。たとえ売れても”いつか落ちる”という怖さがありますよね。起業家としてしっかりと安定収益を上げつつ、モデルの仕事も続けていこうと考えています。
ーー起業を目指すようになったきっかけは何ですか?
今までたくさんの社長さんと出会ってきたのですが、皆さん楽しそうなんです。父も貿易の会社を経営しています。その影響も大きいですね。
20歳くらいのときに人から「将来はどのポジションにいたいの?」ということを聞かれて、そのときあらためて考えた結果「1階ではなく100階にいたい」と思うようになりました。学生のときに将来の立ち位置について明確にできたのは良かったです。
起業にはもちろんリスクが伴いますが、やればやった分だけリターンがあって、周りの人も自分も豊かになるし、世間からも認められます。自分も含めてみんな幸せになるのが良いと思っています。お金を持ちすぎて苦労している人もたくさん知っているので、小さな豊かさで良いんです。気づいたら周りがみんな笑っている、そんな日常が理想ですね。
「モデル」という言葉には刹那的なふわふわしたイメージがありますが、企業に依存することなく、自らのビジネスを多角化している裕生さんのキャリア観は先進的で、ストイック。強かに成長を続ける裕生さんの今後に注目です!
工藤裕生さんのブログ:HIROI’S BLOG