(この記事は#CBK encyclopediaにて、2020年9月9日に公開されたものです。)
ROPE’やViSなど複数のブランドを展開する株式会社JUNは、2019年より自社サイトのスタッフコンテンツにニューロープのファッションAI「#CBK scnnr」を導入しています。
今回は、EC事業部にて自社のデジタル領域を広く担当されている同社の石川剛さんにスタイリングコンテンツやファッションAIの導入についてお話を伺いました。(インタビュアー: ニューロープ林田)
店舗スタッフによるスタイリング提案の強化
元は「ショップブログ」として運用をしていました。なかなか投稿数が増えず、またECサイトとの導線も弱かったため、2018年にECサイト内に「スタッフスタイリング」としてリニューアルをしました。
店舗スタッフの協力のもと、月間数百枚の画像がアップされています。PV、ユーザー数、コーディネート経由の売り上げを分析し、効果が高かったコンテンツを社内でシェアして各スタッフがそれらを参考に工夫を重ねています。
スタッフスタイリングは店頭の販促でも活用しており、店頭でQRコードを読んでいただくことで閲覧数を増やしたり接客時の会話などにも使ったりしていますね。他には、スタッフスタイリングの仕組みを使い店舗で独自のページを作成し、名刺代わりのお渡ししています。来店したお客様に持ち帰っていただき、ECや店舗の再訪問に繋げています。
4月の緊急事態宣言中もコンテンツは更新されていましたね。
はい。お店が閉まっている間も、スタッフが自宅などで工夫をして撮影してくれました。厳密な撮影ルールは設けず、基本的には自由に撮ってもらっています。
面白いのが、よく見られているコーディネートと経由売り上げが高いコーディネートは必ずしも一致しない場合があることです。
いわゆる「写真映え」するスナップだけではなく、スタイリングのポイントをコメントとして書き、商品のディテールがきちんと伝わるように別角度の写真も掲載するなど、提案力が重要になってきます。そこには店舗スタッフのスキルが発揮されているなと感じています。
画像解析AIの導入でデータ整理と効率化を目指す
ニューロープの画像解析AIを導入した背景について教えてください。
現在、スタッフスタイリングのタグ付けに画像解析AIを導入しています。
当時タグの機能はスタッフが画像を投稿する際、すべて手動で入力していました。自由入力にすることで、言葉のゆらぎが発生したり、見ればわかるような基本的なタグが抜けていることが多かったりと課題を感じていました。
タグを選択すると、そのタグが付いているコーディネートの一覧が見られるのですが、「花柄」「フラワー」と同じ意味の場合でもシステム上は別々のページになってしまいます。また、スタッフが考える提案キーワードはどうしてもブランドから発信する限定的な言葉になり、「スカート」や「パンプス」など見たらわかるような基本的なタグが抜け落ちてしまいがちです。そのため、もっと網羅的にタグ付けをしたいと考えていました。
ニューロープの画像解析AIのことを知り、弊社が実現したいことに取り組めるツールだと感じました。
タグを選択すると、そのタグが付いているコーディネートの一覧が見られるのですが、「花柄」「フラワー」と同じ意味の場合でもシステム上は別々のページになってしまいます。また、スタッフが考える提案キーワードはどうしてもブランドから発信する限定的な言葉になり、「スカート」や「パンプス」など見たらわかるような基本的なタグが抜け落ちてしまいがちです。そのため、もっと網羅的にタグ付けをしたいと考えていました。
ニューロープの画像解析AIのことを知り、弊社が実現したいことに取り組めるツールだと感じました。
導入前に解析のテストを行いましたがいかがでしたでしょうか?
何枚か弊社のスナップ写真をAIで解析し、想定以上の結果が得られることがわかりました。
スタッフスタイリングの場合、1枚の写真の中に複数のアイテムが写っているのですが、ニューロープのファッションAIはスナップ写真から複数のアイテムを抽出できるので相性もよいですね。
ありがとうございます! 導入についてはいかがでしょうか?
APIの連携については開発が必要でしたが、スムーズに導入でき、特別な運用も発生せず自動化できています。ニューロープさんのサポートについても、大変満足しています。
狙っていたタグの整理が整うことで、次の施策にも活かせそうです。
ファッションはシーズン毎に新しいキーワードが追加されていくので、今後はジュンとニューロープのキーワードを上手くマージして、ひとまわり良いものにしていきたいと考えています。あとは、ファッションの場合、カラー以外に着用シーン・オケージョンからアイテムの検討に入ることが多いので、シーンとスナップを上手く掛け合わせていきたいですね。
AIの精度は日々向上させており、新しいタグも登録していますので、引き続きご活用ください!
スタッフスタイリングでは、他にどのような改善を行っていますか?
スタッフスタイリングは、着こなしを中心にスタイリングの提案を行っていますが、着た人にしかわからない説明を加えるようにしています。
具体的には、商品詳細ページで「スタッフ着用レビュー」として表示しています。
厚み・柔らかさ・伸縮性・透け感・サイズを5段階評価し、着用サイズやコメントを追加することで、実際に手に取れなくても商品の特徴が伝わるようにしています。
「スタッフ着用レビュー」があるかないかで、アイテムの見られ方が全然違ってきています。
これまで商品1点だけを購入されていた方も、スタイリングとして複数点購入されるケースも増えてきました。サイズ感や身長による見え方を気にされているユーザーさんが多いということに改めて気付かされました。商品情報だけでは伝わらない部分を上手くユーザーへお伝えすることで、コンバージョンにも大きく貢献していますね!
確かに、オンラインでは生地感、サイズ感がどうしてもわかりにくいので、色々なスタッフさんのコメントがあるととても参考になりますね!
ブランドの世界観をデジタルで表現していく
今後、EC事業部が目指しているのはどのようなことでしょうか?
今こそ、改めてオムニチャネル化を意識しています。
これまでECはオンライン上でのお買い物の場という意味合いが強かったのですが、デジタルの場でブランドの世界観をどのように伝えていくのか?というところを考えています。
我々の商品は明確な個性があるわけではないので、一点一点を売るというやり方ではなく、ブランドとしての世界観を伝えることが大切だと考えています。
「どのようにしてこういうアイテムを選ぶのか?」ということをユーザーさんにお伝えするのはとても重要ですね。画像や動画から伝わる雰囲気には、なかなか”正解”といえるものが定義しにくいのが悩ましいところですが、データ解析をしながら改善をしています。
商品から入るのではなく、ブランドとしての世界観から入って、スタイリングを提案し、商品へ誘導するという流れを作りたいですね。
そういう意味では、本日お話ししているスタッフスタイリングは、ブランドの世界観と商品を繋ぐ役目を担っているといえます。
アウトプットの形としては色々考えられるので、少しずつ進化させて良いかたちにしていきたいと思っています!
なるほど、楽しみです!
最後に、ニューロープに一言お願いします。
需要予測などについてのAIへの期待も高いですが、ファッションの販売については、これまでの経験や実績からすでにデータ化できているものもあり、あえてAIにやらせるかどうかは慎重に見極める必要があると思います。
AIならではの領域があるはずなので、引き続き情報交換をしながらファッションとAI、お互い得意なところでシナジーを高めていけたらいいなと思います。
そういった相談相手としてもニューロープには期待をしています!
ご期待に沿えるように頑張ります。本日はありがとうございました!
現在、ファッションAIを導入いただいている「コーディネートコンテンツ」について教えてください。