ファッショントレンドはどこからやってくるのか? – 深谷玲人のアパレル講座 #01

(この記事は#CBK encyclopediaにて、2020年8月15日に公開されたものです。)

みなさんごきげんよう! DeepValleyの代表の深谷です!

いきなりなんやねん、そもそもお前は誰やねん。って人も多いと思いますが、実はニューロープさん(注:#CBK運営会社)とは付き合いがありまして、そもそも代表の酒井さんは同い年のファッションテック仲間で、インタビューをしていただいたこともあります。

DeepValley代表 深谷玲人

簡単に自己紹介をさせていただくと、そもそもはアパレル業界で11年経験がありまして、販売からMD、ブランド長まで経験させていただきました。そのあとbellFaceというSaaSのスタートアップでカスタマーサクセスを3年経験し、その双方の経験を活かし現在アパレル×テクノロジーの会社DeepValleyの代表とアパレル講師業を行っております。

アパレルキャリアの中では、もっとも好きな職種がMDでした。一番時間かけたと思いますし、苦労もした分、楽しい部分も多かったです。そんな中、今回書かせてもらうのはずばり「トレンド」についてです。

ファッションとは切っても切れないトレンド。うまく乗れば瞬間的に売り上げを伸ばすことも出来ますが、外すと大惨事になります。自分が現役時代からこれまで、どんな風にトレンドを掴んできたのか? そんな内容をお伝えできたらと思います。

そもそもファッションのトレンドとは?

トレンドはわかりやすく言うと「流行」とか「傾向」などと言われており、マーケティングや統計にも使われます。イノベーター理論やキャズム理論などなど、いろいろと切り口が多く掴もうとしても掴みきれないことが多い反面、「センス」や「直感」なんてものとの親和性も高かったりと、、、なかなか変数が多いです。

MDについても、もちろん理解したい内容ではありますが、MDとトレンドの関係についてなかなかしっかりとした記述が少ないこともあり、持論的な部分も多く入ってしまいますが「売れるものを予測する」や「市場の動きを読む」みたいな感じで捉えていただけると良いかなと思っています。

トレンドは繰り返すのか?

ちなみに「トレンドは繰り返す」という循環型である、と言う人が多くいますが、経験上それはファッションにおいて「完全なイコールではないランダムなものに近い」と思っております。とはいえ確かに大枠で90’sなどはトレンドがまた再熱していますし、アースカラーのようなアイテムも再び流行って来ています。

しかし細かい部分で見てみると、オーバーサイズでありながらも、袖は長く丈感や身幅は短いように感じますし、コーディネートカラーは同色でまとめて「消えそうな色コーデ」みたいになっています。デザインディティールは少し上品になり、素材感としてはエレガントに見える光沢もの、コットンで言うとスーピマのような艶ものが多いようです。これは氷山の一角に過ぎず、細かく見ればもっと要素はあります。クリア小物なんてわかりやすく違いますしね。

つまり、タイトルやテーマ、キーワードは多少繰り返されたとしてもそれはあくまで「言語の話」であって「全く同じもの」が再度トレンドとなり、同じように売れたりすることは有り得ないと思っています。

販売する場所、価格、素材、カラー、形、デザイン、季節、コーデ、着こなしのテクニックなど、少なくとも深谷が見てきた15年の中では、全て同時にトレンドとして再来することは一度もありませんでした。

それはそうですよね。少なくとも時代は進んできてますので、スマホがある時代とない時代のトレンドが全くを持って一緒なはずは絶対になさそうです。

ファッションのトレンドはどこからくるの?

結論から言ってしまうとファッションにおけるトレンドは、「コレクション」から降りてくる場合が多いです。(新型コロナウイルスの影響で今度は変わることも予測出来ます。これは別途どこかで書きます。)大体は海外のコレクション(ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロンドン)の内容が時間をかけて日本の市場に降りてきます。

MDは、Instagramなどにインフルエンサーやブランド、メディアがアップしたコレクションの画像をチェックしたり、ファッション業界向けにコレクションの動向をまとめたトレンドセミナーに参加したりして情報を集めています。

その過程で「反応のよかったもの」「売れそうだ」と思われたものなどが、少し形を変えながら市場に降りてきます。それはコレクションに参列しているライターさんなどの評価が半年くらい時間をかけて今の市場の流れと交わっていくイメージです。

人気ブランドから派生するトレンドの仕組み

この中での人気と言われるブランドのアイテムはきっと「みんなが良い!」とされるだろうと他のブランドが予想し、そこからインスパイヤされ、オリジナリティを加えて市場に出てきます。

例えば現在、ウエストバックを斜めかけするスタイルやフィッシングベスト(これはメンズだけかな?)の流れはきっとDiorのキムジョーンズが手掛けた2019プレフォールコレクションから流れてきたのだと思います。

しかし、人気ブランドのスタイルやアイテムがそのまま真っすぐに各ブランドへ落ちた訳ではありません。市場としてスポーティの流れが強く残り、スポーティが一過性のトレンドではなく着心地や機能性の部分でロングテールしていたため(NIKEやノースフェイスなど)サイバーっぽいカラーではなくストリート(アウトドア)っぽく変化したのではないか?と分析しています。

そんな流れからリンガーTシャツみたいなものが流れてきているので、「もしかしたら秋冬以降はパイピングや異色のステッチなんかのデザインが今後増えそうだな…」なんて予測が出来ます。多分これをみなさんが着るのは来年の春夏ではないでしょうか? 覚えていてくださいね(笑)。ただブランドは、この時点で発注はしないため、こんな早すぎる予測の意味はないのです。(個人的には、「今そんなアイテム出しているブランドはトレンド掴むのが早いから、今買っとけば来年も着られるなーコスパいいなー」なんて考えたりもします)

例えばカラートレンド(Jafca※1、Intercolor※2)や生地トレンド(プルミエールヴィジョン※3)の方が先に公開されトレンドが決まるのですが、正直深谷は追っていてもあまりMD的に役に立つことは多くなかったかな?と思っております。担当ブランドにもよると思いますが、前過ぎてリアリティがなく、コレクションが始まるころにはすでに変化しているため、コレクションのタイミングで掴めば十分だと認識していました。

次回は、具体的なトレンド予測について

あくまで個人的な見解もありますが、トレンドそのものについて大枠を記載しました。とはいえ、ちょっとピンと来ない内容もあると思いますので、次回はもう少し、具体的なトレンド予測(数字意外のMDの組み立て方)を書いていきます! 次回もお楽しみに! 深谷でした!

 

※1 Jafca(一般社団法人流行色協会)

※2 Intercolor(国際流行色委員会)

※3 プルミエールヴィジョン(パリで開催されるファッション素材見本市)

関連リンクAIでファッショントレンドを分析する『#CBK forecast』画像解析するファッションAI『#CBK scnnr』深谷玲人のTwitter深谷玲人のInstagram

 

出典元:#CBK encyclopedia(2020.8.15.)

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深谷 玲人

株式会社DeepValley 代表取締役社長。 アパレル業界に10年経験があり、販売からMD、ブランド長まで経験したのち、ITベンチャー企業ベルフェイスに転職し2年半、カスタマーサクセスとしてSaaSのモデルを経験。 双方の経験を合わせ、アパレル業界に特化したIT企業として2018年5月に独立。アパレル生産特化システムの販売とアパレル講師業に務める。